サウジアラビアで女性アナウンサーがスカーフをしないでニュース番組に出演し論争に

0

サウジでスカーフなし女性がTV出演

イスラム教の戒律が厳しい中東のサウジアラビアで、国営テレビ Al Ekhbariyaでニュース番組を放送中に女性アナウンサーが、ヒジャブ(イスラム教で女性が頭を覆うスカーフ)を着用せずに出演し、論争になっているという。

    女性アナウンサーがスカーフを着用せずにニュースを読むのは初

敬虔なイスラム国であるサウジアラビアでは、女性はヒジャブやベール、アバヤ(全身を覆う黒い服)の着用が求められている。

同局は、10年前に設立され、初めて女性アナウンサーを起用したテレビ局。これまで国営テレビの番組内でヒジャブを着けていない女性が映ることはあったが、ニュースを読み上げるアナウンサーが着けていないということはあり得なかった。

この映像は、複数のアラビア語のニュースチャンネル上で共有され、オンラインで11万回以上再生されている。

    批判の声も多く、「宗教の敵だ」と呼ぶ人も

これを見た多くの人が、厳格なイスラム教国における女性の権利が一歩前進したとして、この動きを称賛した。一方で、女性アナウンサーが頭を露わにして出演したことにショックを受けており、ツイッターでは、テレビ局のプロデューサーを「宗教の敵だ」と呼ぶ人もいるなど、批判の声も多く上がっている。

同局の広報担当者によると、女性アナウンサーは、サウジアラビア国内のスタジオにいたのではなく、英国のスタジオからニュースを読む特派員だったので、スカーフをつけていなかったのだといい、「私たちの価値観や国のシステムに対する罪を容認するわけではありません」と述べている。

    女性の権利拡大や雇用拡大の動きも

サウジアラビアの社会は近年、車を運転する権利を含め、女性にもっと権限を付与する可能性を示しているほか、労働省は女性の雇用を促進しており、一部の企業では、職場でのヒジャブ着用を義務付けないなどの動きもある。

同局は、多くの批判を受けて、今後二度とこのようなことは起こさないと宣言しているが、サウジアラビアで女性の権利が拡大するには、まだ時間がかかりそうだ。

 

(リプトン和子)